先だって7月の13日から15日、日本経済新聞と日経BP主催の企業エキシビションに出展してきました。
今日は、私見ながらそこで感じたことをいくつか、お伝えしてみたいと思います。
まず、今回の展示会の中心コンセプトそのものである
「人的資本(ヒューマンキャピタル)」
とはなんぞや、という点について、経済産業省のwebページにはこう書いてあります。
『人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方です。』
有楽町の東京国際フォーラムで開催された展示会では、このコンセプトに沿って、さまざまな取り組みやサービスを提供している企業が集まっていました。
人事評価や能力開発、心身のウェルビーイングやデジタルを活用したオンライン研修構築、採用・離職・退職に関するサービスなどなど、各企業の特色がそれぞれ興味深いものでした。
今回、私の会社は、「ティールからヴァイオレットへ」というテーマで、人財育成・組織開発の分野での出展。
悟りの智慧を企業に実装しましょう、ということを謳っているのですが、我がことながら、日本経済の中心を牽引する企業群の展示会にこういう趣旨が受け入れられているのは、時代の変化だなあと感じます。
時代背景としても、コロナ以後のリモートワークの普及、100年人生時代の生き方の多様化、副業解禁や個人事業の増加などの影響もあるでしょうし、働き方にしても、同じ仕事を定年までずっと、という時代ではないので、企業としては、流動化する人材との関係性をどのようにすれば最も好ましい状態にできるかということは、これからますます大きな課題になってくると思います。
記事の前半では、今後の社会の大きな課題を「流動化する人材との関係性をどのようにすれば最も好ましい状態にできるか?」と紐解きました。
その課題に答えるように今回の日経主催の展示会では、そのために有効なサービスを各社が提示していたわけですが、それをもう少し深く広げて考えてみると、「人的資本経営」について、次のような視点も大切かなと思うのです。
一つは、『人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出す』上では、経営者側の「人間観」あるいは「人間理解の深さ」が問われてくる、ということ。
人を、組織にとって役に立つ単なる「労働力・コスト」と捉えていたのでは、良い人材が集まることや、良い人材が定着したり、成長してより良い貢献を組織にもたらしてくれることは、これからますます難しくなるでしょう。
「人間をどう思うのか、人間とは何なのか」あるいは「より望ましい人と人の関係性の結び方とはどのようなものか」といったような本質論は、普通、職場での日々の仕事や業務の中で、表立って重視されることではないと思います。
そんなことよりも、こなすべきタスク、締め切り、ノルマ、事務、作成物、各種数字のチェックなど、やるべきことは沢山あります。
ときにそういうことに埋もれてしまうほどに忙しかったり、目の前のことだけで多忙だったりということもあるかもしれませんが、本気で一人の人間の価値を最大限に引き出す、ということを考えるならば、その視点だけでは足りません。
それだけでは、いってみればその人の全人格や全人生から汲み出される能力の泉の、一部分しか生かされないことになります。
ちなみにF・ラルーの著書『ティール組織』には、より進化した組織になる上で、一人ひとりが「全体性(ホールネス)」を獲得することの意味を説いていますが、そこに通じるものでもあると思います。
一人の人間が、最も好ましいパフォーマンスで「全体性」を発揮しようと思うなら、その「人的資本」のために注目すべきことも、必然的に広がっていきます。
例えば、体のパフォーマンスはどうなのか、不調を抱えて無理していないか、ということもあるでしょうし、感情のパフォーマンスはどうなのか、無意識の感情に蓋をして、仮面をつけた人格だけで心の歪みをマヒさせてはいないか、など、心と体の最適化のために考えるべきことも、色々と増えるかもしれません。
単なる職務上のスキルだけでなく、その人の本質的な特性ということもありますので、目に見えず可視化されにくい、その人の「潜在資本」領域により目を向けられるかどうかは、経営者にとっての一つの大事な資質になってくるのではと思います。
こういうことは、従来であれば綺麗事や理想論のように捉えられていた側面も強いと思いますが、これからの時代のシフトを考えると、こういった潮流は徐々に大きくなっていくのではないでしょうか。
同時に、現実的には、会社や上司がその人の人間性の全てを丁寧に考え、磨いてくれることを期待しても、受け身の姿勢だけで良くなるものでもない、という視点も大事でしょう。
働く側、あるいは個人で事業を営む人であれば自分自身が、自分の能力の「全体性」や、仕事も含めて自分の生きる意味・目的を見つめ、高めていく必要性は、今まで以上に求められてくると思います。
自分が属する組織にとっては、それが自分が出来うる利他的な貢献に繋がりますし、個人事業であったなら、自分や事業のパフォーマンスを向上させる推進力にもなります。
ではそのために何が必要か、ということになりますと、シンプルに言って、いろんな階層での自己の深掘りや意識拡張、習慣の変容、ということになると思います。
自分とは何なのか、自分の体質や心の性質はどのようなものか、自分の能力的な特性や、自分の対人関係の相性はどのようなものか、など、総合的な意味でより深く「己を知る」ことで、自分自身の「潜在資本」も徐々に立ち現れてくるでしょう。
ですが、自分を知る、自分の能力や強みを知って活かす、自分も気づいていないより深い潜在意識の場から未来を創造する力を汲み出す、といったことは、自ら意識的に取り組まないと、放っておいて好転するものではありません。
そういう意味で、自分がまだ活かせていない自分の創造性を引き出すための智慧に触れる機会を増やすことは、個々人にとって、これまで以上に大切なことになってくるのではないかと思います。
このデータム・ハウスの記事の中だけでも、体や感情、言葉の力や意識の力についてなど、さまざまな角度からの智慧が言語化されていますので、自分の関心やニーズに合ったところから、日常に意識的に取り込んでみることを、改めてオススメしたいと思います。
そのようにして「人的資本」の価値を高めることが、所属する企業の企業価値の向上につながること、ひいては社会全体のより善い変化につながること、ということを思うと、ひとり一人の日々の自覚的な意識進化の取り組みは、やはり時代の大きな変容の根幹なのではないでしょうか。
そのような視点でぜひ、これからの「人的資本経営」時代を生きる上で、自分や組織の変容を考えるための智慧を、汲み出してみて頂ければと思います。
いかがでしたか?
今回編集部も「ヒューマンキャピタル・ラーニングイノベーション2022」(主催 : 日経新聞、日経BP)に取材に行きましたが、本当に多くの企業が出展していて驚きました。
これは取りも直さず、「人的資本」が今後の経済を動かすキーワードになっていることの現れではないでしょうか。
さて、datum houseではELEMENT、essence、maforama(無料会員サイト)の3つのメディアで、「人的資本」を高めるために必要な「創造性を引き出すための智慧」を中心に体や感情、言葉の力や意識の力について、さまざまな分野のプロフェッショナルが執筆した記事をたくさん掲載しています。
ぜひ他の記事もご確認ください。
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