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新しい時代の「人的資本経営」に必要なもの

作成者: ELEMENT編集部|Jul 7, 2022 4:49:44 AM

これからの時代の流れと働き方

今回は、2022年も折り返し下半期に入りましたので、最近感じているこれからの「時代の流れ」について、書いてみたいと思います。

 

といっても世界の政治や経済の流れといった系統の話ではなく、私たち一人ひとりの働き方や生き方、といったテーマについてです。

 

ちょうどこの7月の13日から15日の3日間、有楽町の東京国際フォーラムで、日経新聞と日経BP主催の企業エキシビション「ヒューマンキャピタル・ラーニングイノベーション2022」が開催され、私の会社も出展することになりました。

 

拙著ビヨンド・ティールを目にとめてくれた企画担当の方にオファーを頂いたことがきっかけなのですが、とくに「人的資本経営」というテーマに関心を持つ企業人が集う専門展としては、国内最大規模だと思い、私自身も今から楽しみにしております。

 

去年、一昨年とコロナの影響もありリアル開催はできなかったそうですが、今年は規模を縮小しつつも、3年ぶりのリアル開催が実現したそう。

 

主には人事・教育畑の経営者や役職者、起業家の方々が集う場になるとは思いますが、この分野に関心のある方にとっては、きっと気づきや学びの多い場となるでしょう。

 

少し抽象度をあげて考えてみれば、あらゆる企業は「人」によって成り立っていますし、誰もが何らかの形で仕事や事業に携わっています。そういう意味では、誰にとっても意義のあるイベント、と言えるかもしれません。

 

これからの時代に求められる人材像や、人と組織の関係性ということを考える上でも多くの学びが得られると思います。

 

さらには、自分自身の働き方・生き方、という「自分ごと」に直結する課題を考える上でも、最先端の見識に触れる良い機会となるでしょう。

 

さて、今日はそのことと関連して最近、経済産業省がまとめた「人的資本経営」の潮流について、なかなか興味深い資料を見つけましたので、そこで触れられている内容について少しご紹介してまいりましょう。

持続可能な企業に求められる人材とは?

経済産業省のサイトに、「人的資本経営の実現に向けた検討会 報告書 〜人材版伊藤レポート2.0〜」と題した報告書が公表されています。

 

私の知人で東証一部上場の人事関係の人にも聞いてみたところ、人事関係の役職者の間では、多くの企業で参照されている報告書、とのこと。

 

ということは、今後はこのような報告書を参考に、あるいは土台にして、日本でも各企業における現実的な経営戦略や人材開発への潮流ができていくのかもしれませんね。

 

この報告書をまとめられたのは、検討会の座長であり、一橋大学CFO教育研究センター長の伊藤邦雄氏。2020年9月のレポートからアップデートされた内容が、ちょうどこの5月にまとめられたばかりのようで、令和4年5月版(最新版)として発表されています。

 

また同じく経産省のサイトには、令和2年7月に産業人材政策室がまとめた「参考資料集」というレポートもあります。

 

こちらを眺めてみると「持続的な企業価値の向上と人的資本」というテーマで、諸外国と比べた時の日本の課題がさまざまな形で浮き彫りになっていて、なかなか考えさせられる内容です。

 

例えば「現在の勤務先で継続して働きたい人の割合」は、アジア14カ国の中で日本が最下位。

 

ところが、そうかといって「転職意向、独立・起業志向のある人の割合」が多いのかというとそんなことは全くなく、こちらもなんと日本が最下位となっています。

 

つまり、「今の仕事は続けたくないけど、でも、転職や独立、起業もちょっと…」ということなのでしょう。

 

もちろんこれは、あくまで一つの調査結果であり、国民性なども含めて色々なファクターがあると思いますので、一概に「日本はこうだからこう」と言えない部分もあります。

 

とはいえ、日本において、人と組織の関係性やキャリアシフト、生き方の変容ということについて、提起している問題の根は深そうに感じてしまうのは、私だけではないのではないでしょうか。

 

もう一つ、例を挙げてみましょう。

 

「人材版伊藤レポート2.0」の中に、これからの「変革の方向性」として整理された6つの項目がありまして、そのうちのひとつ、「個と組織の関係性」では、これまでの個と組織の関係性を「相互依存」と捉え、次のように規定しています。

 

〈企業は囲い込み、個人も依存。硬直的な文化になり、イノベーションが生まれにくい。〉

 

そして、そこから向かうべき変革の方向性として「個の自律・活性化」というキータームが掲げられており、そこでは次のように記されています。

 

〈互いに選び合い、共に成長。多様な経験を取り込み、イノベーションにつなげる。 〉

企業も個人もレジリエンスを高める時代

これらについては色々な角度から解釈ができると思うのですが、もう一つ報告書内で『「人材版伊藤レポート」で明らかにしたこと』と題されたテーマから、次のポイントにフォーカスして、まとめてみたいと思います。

 

そこでは、次のような記述があります。

 

「変化が激しい時代には、これまでの成功体験に囚われることなく、企業も個人も、変化に柔軟に対応し、想定外のショックへの強靭性(レジリエンス)を高めていく変革力が求められる。」

 

さて、この一文を「自分ごと」として見つめてみた時、上記のほかの引用も含めて、皆さんはどのように感じられるでしょうか。

 

私の心に湧いてくる印象は、過去の延長や習慣や枠組みに執着するのか、それとも未来からの視座で、変化し続ける自分と、自らの働きがい・生きがいを創造する意志を育てていけるのか?ということです。

 

「コロナや戦争と、世の中大変なことはあるけれど、今の勤務先でなんとかずっと今後の仕事と人生を…。」と希望をもっていたとしても、そのような突発的かつ予測不可能な状況においては、そんな個人の望みさえも無惨に押し流されてしまうという事実を、私たち自身が、コロナ以降の数年の間に、実社会の中で目の当たりにしたのではないかと思います。

 

企業は企業で、旧来のように人的資源の管理を「コスト」と捉え、組織に都合のいいようにコントロールしようと思っても、それはそれで良い企業風土や業績に結びつくはずもありません。

 

むしろ、そのように管理、コントロールしようとすればするほど逆に、信頼関係が崩れ、関係性が断絶してしまうようなことが起こって突然代謝されてしまったりすることも起こるでしょう。

 

また、それらが原因で、余計な採用コストやマネジメント労力がかかったりするなど、人材にまつわる課題が鬱積し、そのことに頭を悩まされるケースが続出するかもしれません。

 

そういう意味ではまさしく、個と組織とが〈互いに選び合い、共に成長〉する関係性を育んでいくことこそが、長い目での企業価値向上を考える上でもとても重要になると思います。

 

「そんなのは理想論だ、机上の空論だ」と言っていられるような話でもなく、少なくともそういう理想に向かって努力する必要がある、というのは時代の流れの中で必然であり、そのことは、この報告書にも象徴されるように、はっきりと言語化されていることが見て取れます。

 

そして、そのような相互努力を重ねることが、「企業も個人も変化に柔軟に対応し、想定外のショックへの強靭性(レジリエンス)を高めていく変革力」という、一つの結論に繋がるのでしょう。

 

では、こういった視点での「時代の流れ」を踏まえて、私たちが日々出来ること、具体的に積み重ねることができることとして、一体どのようなものがあるのでしょうか。

 

そのヒントとなる知恵は、このデータム・ハウス内のさまざまな記事の中に散りばめられていますので、まずはそのような視点でご自分の気になる記事を探し、読んでみて下さい、というのが、まずもっての答えです。

 

自分の仕事、健康、人間関係、人生をより良い方向に創造していくための実践的な知恵を「自分ごと」として考えていけば、それはやがて着実に、未来の変化へとつながっていきます。

 

より本質的な言葉で表現すれば、それら全ての根源には、自分自身の意志で、自分自身の人生や現実を創造し続けられる大いなる力が、「誰の中にも必ず眠っている」という、希望に満ちた真実の視座があるのです。

 

データムグループでは、人間本来のその深い創造の泉を汲み出す知恵をさまざまに体系化していますので、ご関心のある方は、今回の記事のような文脈からも、改めてその知恵の活かし方を考える機会としていただければ、幸いに思います。

 

 

いかがでしたでしょうか。

ここ数年の社会情勢の大きな変化がもたらしたものーー。

 

それは、個々の生き方や
ライフスタイルの変化だけでなく、
人間関係の本質的を考えるきっかけになりました。

 

そしてその流れは今、
「個と個」という結びつきを超えて、
より大きなスケールで

個と企業の新たな関係性を
構築するフェーズに移行しつつあります。

 

このように企業も個人も新たな時代に合わせて
柔軟に変革していくことが今求められています。

 

その時にもやはり大事になってくるのが、
個々の「意志の力」。

 

社会が大きな変化の中にある中で、
まずこの原点に立ち返って、
自らを俯瞰していきましょう。

 

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