皆さん、こんにちは。
内海昭徳です。
今日は、少し文明論的な話を。
感染症と文明の関係については
専門的な著書が
注目されたりしているようですが、
私は、大きな視野感での
素描といいますか、
ELEMENTをお読みの方にとっては
こんな風な角度で
捉えてみるのも、楽しいのではないかな
というくらいの
軽い気持ちでのコラムです。
人類史上の感染症として
よく言及されるのは、
中世ヨーロッパを襲った
黒死病だと思います。
小説としては
ボッカチオの『デカメロン』や
カミュの『ペスト』などが
当時のパンデミックを題材にしたものとして
世界的に有名ですね。
(私は不勉強なので読んでないですが、最近読んでみたいなと思ってます。)
黒死病がもたらした
人類史的な影響としては、
なんといっても「ルネサンス」です。
何千万人もの人命が奪われ続け
社会が崩れ、暗鬱に支配される
その苛烈極まりない疫病は、
人間存在の不条理に直面した人々に、
「神と人の関係性」
についての
大きな意識変容をもたらすことに繋がります。
もちろんここでいう神は、
キリスト教、一神教の神のこと。
人間の悲惨と残酷に
手を差し伸べてくれない神に対して
神から離れて
人間中心(ヒューマニズム)に向かう意識と
より神との関係性を沈思することで
宗教改革に向かう意識と、
相反する、大きな歯車が動いていき
その後の近代文明全般に、
絶大な影響を与えたのだと思います。
黒死病がルネサンスを生み
ルネサンスは近代を生んだ、と
大づかみに言えば
そういう風に捉えられるでしょう。
してみるとまさしく、
感染症が人類の意識進化をもたらしたと言えますね。
そうして、地動説や科学革命
産業革命や啓蒙主義の時代を経て
力の原理による
植民地帝国主義の時代に進み、
わが日本国も、
「西洋近代」という衝撃を受け
明治維新から現在に至るまで、
「西洋的なるものとの距離感」
という問題と、絶えず向き合い続けています。
その中でも今もって
大きなテーマとなっているものはやはり
「神と人の関係性」
ということだと思います。
苛烈なパンデミックにあって
一神教的な神の恩寵、というものが
人間存在の不条理に対し
未来を照らす力にはなり得なかった、と
考えようによっては、それはすでに
700年ほど前に中世の人類が経験したことです。
そして現代に至るまでの間には
「神は死んだ」という哲学者が現れ、
無神論を当然とする国家が
強大な影響力を持つようになり、
果てはAI神という、
黒死病の時代の人々からは
思いもつかない異質な概念が
近未来の景色に描き出されたりしています。
宗教も
科学も
テクノロジーも、
様々に議論され、
変容し、発展し、人類文明を牽引する中で
西洋由来ではなく
完全なる日本オリジナルで概念化された
最も古く、かつ最も新しい
「神と人の関係性」のあり方。
人間存在の普遍的本質を喚起させ、
生者にも死者にも宇宙の恩恵をもたらす神観。
さらに、未来科学とも呼べる
ロゴストロンテクノロジーが
より促進してくれる、神と人の結び。
そういった要素が凝縮された
「とほかみえみため」の8文字の言霊は、
日本から広がる
21世紀の新たなルネサンスになりうる、と
そんな大風呂敷を広げて
文明の大流に心遊ばせてみることも、
ルネサンスがもたらしてくれた
人間精神の解放への感謝と共に
意味のあること、と
思ってみるのはいかがでしょうか。
そしてもしも、
「言霊は実現化する」という
その深い叡智をそのままに受け止められるなら、
後世の人々からみて
このELEMENTの記事をお読みの方は
文明史的に、
日本から新たなルネサンスを
切り開いた先駆者たちであったと、
そんな未来を、中今に感じることが
できるかもしれませんね。
そんな大きな空想と共に、
今日も平安清明の心で
「とほかみえみため」を唱えて参りましょう。
内海昭徳
株式会社ロンズデーライト代表取締役
neten株式会社客員研究員
筑波大学で国際関係学、京都大学大学院で政治哲学・社会経済学を専攻。
9/11テロを機に、人間の根本的な意識進化の必要性を感じ、大学院を中退。
世界の真相と人間の意識の本質の探求を深める中で、メタ認識次元の叡智を掴み、科学と悟りの知恵を融合した人間開発と社会変革に長年取り組む。
北米への事業の新規展開を担う過程で、2018年サンフランシスコで開催されたwisdom2.0に日本人初のエントリースピーカーとして登壇。
シリコンバレーを中心に、テクノロジーの進歩と並走できる宇宙の普遍的真理の社会実装ニーズの高まりを予見し、独立。
コンサルティングや組織研修、講演会、リトリート、ワークショップなど様々に取り組んでいる。