ゲームと武術の意外な共通点とは?
こんにちは、小野寺潤です。
『ゲームの極意が武術の秘伝』という本を
ご存知でしょうか?
ゲームの世界で世界ランキングトップ10に入る
真仙明さんがその著者です。
・・といっても顔見知りではありませんが、
今日はこの本のお話をしたいと思います。
なぜ本書を取り上げるのかというと、
私どもの研究所と同じやり方で、
誰でも簡単に空手の達人になれる方法を
紹介しているからです。
同じやり方とは、
ナレッジモデリングの手法のことをいいます。
以前お話ししたようにナレッジモデリングとは、
私たちが情報を発信する際の基本的なプロセスですね。
つまり、
「網羅・分類・階層化・統合・出力」
のことをいいます。
たまたま著者は、
ゲームの世界のトッププレイヤーでもあるので、
こうしたデジタル手法が得意というか、
当たり前なのでしょう。
ところが、一般的には、
ゲームと武術の世界には接点がないので、
なかなか見えにくいところがあります。
なぜなら、
ゲームをやる人はどちらかというと
人と直に闘うアナログの世界が不得手であり、
武術をやる人は、
デジタルが苦手という印象があるからです。
ですから、
ようやくその二つを統合してくれる人が
現れたというわけですね。
武術×デジタル思考
こう言っては失礼かもしれませんが、
オリンピックや世界選手権に出る選手を含め、
武術や格闘技をする人はどちらかというと、
技術的にも精神的にも、
やや時代遅れの印象があります。
なぜかというと、
未だ、筋力や技術、根性、努力、タイミングに
囚われているように見えるからです。
ほとんどの方がやっていることは、
従来ある練習体系か、
よくてその延長上ではないでしょうか。
なぜこの練習をするのか、
それによりどんな効果があるのか、
たいてい指導者任せで、実際のところ、
良くも悪くも盲目的なイメージがあります。
ところが『ゲームの極意が武術の秘伝』は、
そうした修行者たちの目を開いてくれます。
つまり、従来的な武術の学び方ではなく、
デジタルを利用して効率的に学びましょう、
と教えているのです。
それを堂々と言えるのも、
著者のゲーム界での実績と、
わずか1年の歳月で武の秘伝的要素を掴んだ
ことにあろうかと思います。
武術の極意とは?
ここで武の秘伝や極意とは何か、
について考えてみたいと思います。
私どもの研究所には、武術の世界チャンピオンや、
テレビに出るような達人の方も来られます。
そこでいろいろ技を見せていただき、
極意について語っていただくことがあるんですね。
で、わかることは、それが筋力でも、
所謂技術でも、精神力でもないということです。
じゃあ、それが何かというと、
筋力を超えた力であり、技術を超えた技であり、
精神力ではなく意識のありよう・・とでもいいましょうか。
それを著者の真仙さんは、
ゲーマーゆえの独自の物の見方「超絶分析思考」
で見つけたといいます。
具体的には、まず武術の達人や
トップアスリートの動きを網羅すること。
そして、それらの情報を整理して実践してみること、
を推奨しています。
それによりわずかな期間で、
「神速」や「水月移写」といった芸当が可能になるそうです。
たとえば、相手がどんな構えをしても、
一発で打ち込むことができたり、
後ろから攻撃を仕掛けられても避けることが
できるという。
これらは武術の世界で「無拍子」とか「水鏡」と
言われるものと同じですね。
もしこれらの技を1から積み上げていこうとすれば、
おそらく10年やってもその境地にいかないでしょう。
けれども、あらゆる達人の境地を
デジタル的に網羅・整理できれば、
極めて短期間で術の習得ができるのです。
武術の達人の境地を1日で感じる
ところが、私どもからすると
これらはごく当たり前の手順とも言えます。
なぜなら、白川神道のご修行では、
早ければ1日で武術の達人の境地を
感じることができるからです。
その時に働く体の神経回路が、
錐体外路系(すいたいがいろけい)といわれるものです。
要は、通常働かせている錐体路系を
錐体外路系に移行できれば、
そこから無限の可能性が開かれるということです。
(その無限の可能性の中で人は神を迎えます)
注)錐体外路とは:
骨格筋の緊張と運動を反射的、不随意的に支配する働きをし、随意運動を支配する錐体路と協調して働く。(ブリタニカ国際大百科事典)
たとえば、相手がパンチを出してきた時に
それを見てから反応したのでは手遅れです。
けれども、対戦者がパンチを出す直前の
「今だ!」という意念を事前に捉えることができれば、
かわすことができます。
より具体的には、「今だ」という意念言語、
すなわち言霊「い」が出るのを感じるわけです。
すると錐体外路系がそれに反応してくれます。(錐体路系だと手遅れ)
これを白川のご修行にたとえると、
祓詞の言霊が勝手に体を動かしてくれる
ということになります。
で、この修行の時は目を瞑っているので、
武術であれば、後ろからの攻撃であっても
避けられることになります。
初見宗家の戸隠流忍術も、
青木師範の新体道も昇段審査などで
同じことをしています。
今流行りのロシアのシステマもそうですね。
あれらは全部、錐体外路系が使えてなんぼの世界です。
ところが、当の指導員も意外とそれを知らないんですね。
あるいは、意図的に教えてなかったり。
致命的なのは、現代日本の多くの武道が、
その領域を無視していることです。
けれども、私どもの世界には、
大前提としてそれが存在します。
で、その世界を、ゲームのトッププレイヤーが
「超絶分析思考」で掴んでしまったというのが、
本書の面白いところなんですね。
錐体外路系という言葉こそ使っていませんが、
表現している世界は一緒です。
何億年も前から存在する神経回路
ちなみに、白川では1日でもできると言いましたが、
そのためには、祓いにより「空(くう)」の状態
にあることが大切です。
少しでも意図が働くと、
錐体路系から離れられなくなるのです。
字が似ているのでわかりにくいですかね。
「錐体路系」と「錐体外路系」です。
お間違えないように。
この錐体外路系は言うなれば、
何億年も前から存在するホヤの神経回路と
同じようなものです。
原始的といいますか、
神経むき出しの感じで。
ところがここまでくると、
神経という物理的なものではなく、
どちらかというと霊的な感じなんですね。
真仙さんはそれを「気」と表現していますが、
広くはそれも間違いではありません。
著者が站椿功(たんとうこう)という
中国式の立禅を生徒に教えたところ、
1日で後ろからの攻撃を避けられるようになった
というお話もあります。
これも見ようによっては、何十年もかかる修行が
1日でできてしまうことの事例といえます。
まあ、この著者がデジタル思考だから、
余計な憶測がなく生徒も学びやすいのでしょう。
意志が無我を破る武術の真髄
著者の真仙さんのお話以外にも、
この情報化社会の恩恵は凄まじく、
1日で合気道四段の技が使えるようになった
女子大生の話もネットに出ていたりします。
結局は情報だと。
それも「網羅・分類・階層化・統合」された
情報なら最高です。
ですから、そうした奥義を求めて、
私どもの研究所を訪れるアスリートや武術家も
結構いらっしゃるんですね。
それで皆さん最後に掴まれるのは、
実は、錐体外路系がどうこうではなく、
意志、すなわち言霊の世界なんです。
著者は本の終わりの部分で
このように書かれています。
「今や私は、剣で説かれた無我の境地は
最高ではないと思っています。
意志の力こそ、運命の通りにあるだけの無我を
何度でも破り去ることができる武道の真髄だと思います。」
はい。そうなんです。
無我の境地で自己満足に浸るのも可能ですが、
それだと面白くありません。
その境地さえ、祓いによって破壊し、
運命をどんどん更新していく。
それを私どもは、真(まこと)の道、
すなわち「真道(しんどう)」と呼んでいます。(了)