潜在的なエネルギーを引き出す「火事場の馬鹿力」の使い方
ELEMENT編集部 [2021.06.09]
こんにちは、Element 編集部です。
「人間の限界を超えた力を引き出す。」
今回は、誰でもそうした潜在的な力を発揮できることが
お分かりいただけるお話をお届けします。
「気がついたら、助かっていたんです」
大きな事故や災害といった絶対絶命の状況から、
奇跡的な生還を果たした人たちが、
どうやったのかは分からないけど、
気がついたら、かすり傷一つなく助かっていた。
そんなドキュメンタリー番組を見たことがあるかも知れません。
この「火事場の馬鹿力」とも言えるような、
潜在的なエネルギーを日常生活で自由に使うことができたら
仕事も勉強も、きっとうまくいきますよね。
しかし、自分の限界を超えるような
命の危機に関わる危険な状況にならない限り、
普通はその力は発揮されません。
けれども、
「火事場の馬鹿力」の源は、誰もが持っています。
その源とは何でしょうか?
今回は、火事場の馬鹿力が引き出される秘密と
それを使いこなすために知っておきたい
「禅のある境地」についてお伝えします。
ぜひ最後までお楽しみください。
こちらの記事は、白川学館理事である
小野寺潤が大野靖志の名義で発信していた有料のメールマガジン
「週刊 デジタル真道」(まぐまぐ発行)より、
一部を抜粋および編集してお送りします。
「週刊 デジタル真道」は現在休刊中ですが、
まぐまぐ社からご登録いただくと、
発行済みの全43話分のお話(バックナンバー)をすべてご覧いただけます。
https://www.mag2.com/m/0001687899
スピードが「火事場の馬鹿力」発現のカギ?
皆さん、こんにちは。
小野寺潤です。
前回「リミッターを外すために」
というテーマでお話ししましたが、
どちらかというと常識的な範囲で
書かせていただきました。
また、「火事場の馬鹿力」を活用する
東大生についてもお話ししましたが、
こちらも普通の内容です。
理性で処理できる範囲といいますか。
その東大生は試験問題を半分の時間でやると
特殊な力が発揮できると言ってますが、
三倍のスピードで仕事をするとゾーンに入ると
言っている某コンサルタントもいますね。
何れにしましても、今の自分が
処理できないスピードで何かを行うと
これまで使っていなかった脳の部位が
働くということでしょう。
これは考えてみると・・といいますか、
考えるまでもなく当たり前のことです。
禅の公案と「火事場の馬鹿力」の関係
そこで一見すると話が飛びますが、一昔前、
七澤代表*にこんなことを言われたことがあります。
*七澤賢治・・・
白川神道の正式な継承者。
言霊や祓いを取り入れた世界最先端の言語エネルギー研究機関である
datumグループの代表。
「言霊を志す者は『無門関』の公案48則を解くといい」と。
今は全くそのようなことは言われなくなりましたが、
これが案外、火事場の馬鹿力を解くのに役立つのです。
ちなみに『無門関』とは禅の教科書みたいなものですね。
だいたい公案というと、
普通は「わけのわからない話」とイメージされるようです。
たとえば、
「両手で叩くとパンと音がする。では隻手(片手)の音はいかに?」
というのがありますね。
あるいは「犬に仏性ありや、なしや」とか。
それで一時期、公案にはまっていた時期があるのですが、
印象に残っているものに「一口吸盡西江水」があります。
(「いっくにきゅうじんすせいこうのみず」と読みます)
これは確か『碧巌録』でしたか。
私は結構このお話が好きなんです。
ストーリーはこんな感じです。
ある僧が馬祖(ばそ)という有名な禅師に質問しました。
「何ものにも囚われない超越した人間とは、
一体どのような人ですか?」
すると馬祖はこう答えます。
「お前が西江の水を一口に飲み尽くしたら、それを教えてやろう」と。
ちなみに西江とは、中国で揚子江、黄河に次ぐ3番目の大河です。
(昔は西江と揚子江は同じと聞きましたが、今は違うみたいです)
そんなお水を一体どうやって飲むんですかね?
ですから、
「西江の水を一口に飲み尽くす」ことができれば、
その人は「超越した人間」になるわけです。
つまり、馬祖はもう答えを言っているわけですね。
「火事場の超々馬鹿力を出してみよ」と。
ちなみに、このお話は剣術の柳生新陰流にも採用され、
「西江水」という名の極意になっています。
「火事場の馬鹿力」は意図して出せるのか
では、この馬鹿力ですが、
普段の自分が意図して出せるものかというと、
そうでもなさそうです。
ネットではこんな事例が紹介されていますね。
アメリカ・ジョージア州で、
「トニー」という青年が車のタイヤ交換をしていたところ、
何かの拍子で
車体を持ち上げていたジャッキが外れ、
車に挟まれ意識を失ってしまった。
それをたまたま見ていた
近所の子供からの知らせで駆けつけた母「アンジェラ」。
息子が車に挟まれて意識を失っているのを見て、
とっさにその車
(ナント、重量は350kgあった!)を
一人で持ち上げ、
助けが来るまでの5分間の間、
ずっとそれを支え続けたといいます。
そして、
その間「アンジェラ」は
意識のない息子にずっと呼びかけていたのだそうです。
その後、
近くの住人が助けに来て「トニー」を救出。
一時は意識不明だったものの二日後には無事退院。
命に別状はなかったそうです。
他に、こんな話も。
2012年に
アメリカ(ミシガン州)に住む15歳の少年は、
車の下敷きとなってしまった祖父を助けるために、
900キロの車を持ち上げて見事に救出に成功しました。
また、こんなのも。
昔、九州で、
マンションで留守番をさせていた子どもが
ベランダから転落する事故があった。
たまたま母親が
買い物の帰りに子供がベランダにいるのを発見し、
地面に激突する寸前で
キャッチしたのだが、これがすごい。
まず加速度を計算すると、
落下地点では子供の負荷はなんと145キログラムになる。
しかも、
子供を見つけてから
キャッチするまでの距離を測ると、
100メートルを11秒台で走ったことになる。
しかもサンダル履きで・・
限界を超えるために必要なこと
つまり、これらの共通点は、
“超”がつくほど緊急事態にあったということです。
そんな緊急事態なしに、
少年がいきなり900キロを持ち上げるなんて、
ありえません。
なので、少年にしても、お母さんにしても、
後で呆然としてしまうんですね。
一体、どこにそんな力があったんだ、と。
ところが、人間には誰にでもあるんです。
そんな力が。
では、なぜ普段そんな力が出せないのかというと、
本気で力を出してしまうと、
筋肉や骨が壊れてしまうため、
潜在的にリミッターがかけられているからです。
それは、ある種の生命維持装置
といってもいいかもしれません。
つまり普段は、自分で「これ以上はムリ」
と感じるところまでしかパワーが発揮できないように
なっているんですね。
ところが、緊急事態の場面に遭遇すると、
脳の安全装置が解除され、アドレナリンが大放出されます。
すると、
「これ以上はムリ」と感じる限界を超えて、
本来備えられている
潜在的なパワーが発揮されるようになるのです。
ですが、それだと
「細胞が破壊される痛みで長続きしないのでは?」
と思いますよね?
そこで分泌されるのがβエンドルフィンで、
痛みを止めるどころか、
むしろハイの状態を生み出すんですね。
モルヒネの数倍もの鎮痛作用があることから
「脳内麻薬」とも呼ばれています。
で、実際に損傷も痛みもないわけです。
誰もが持つ「火事場の馬鹿力」の源とは?
そこで話を「西江の水」に戻しますと、
実は、本気の本気で
「その水をすべて飲む」と決めると、脳が変化するのです。
もちろんホルモンも分泌されます。
ところが、普通は「殺すぞ」と言われない限り
本気でそんなこと思えません。
今の自分を基準にした
適当な本気ならありえますが、
自分を破壊するほどの
本気にはなかなかなれないのです。
この辺りが、禅の「悟り」の重要なポイントと
いえそうです。
どこまで本気になれるか
どこまで公案に命をかけられるか、
ということです。
その「悟り」を経験すると、
先ほどの馬鹿力ではないですが、
意識のひっくり返りと共に、
自分にもの凄い力があることに気づくわけです。
その凄い力と言葉を合わせると、
正真正銘の言霊が生まれます。
結局、火事場の馬鹿力とは、
人類が持つ38億年の生命(いのち)の力であり、
それは誰もが持つものでありながら、
ほとんどの場合、
その自覚がなく一生を終えていく、
というものかもしれません。
一方、それに気づくことができれば、
人生はもっと深い安心に満ちた、
それでいてエキサイティングなものに
なりそうです。
いかがでしたか?
- 火事場の馬鹿力の源は、誰でも持っていること
- しかし、その力を無意識に制限していること
この2つを知るだけでも、人間の可能性が広がりますね。
今後も意識を広げるようなお話をどんどん紹介していきます。
お楽しみに。